お菓子作りで生地を膨らませるために使われるベーキングパウダー。今回はそのベーキングパウダーでパンが作れたら、発酵の時間のがかからないし、パン作りの最大の弱点?の作る時間の長さを大幅に改善できるのではないか!と思い、パン作りにベーキングパウダーは使えるのかを検証してみました。
現状では、パン作りの主流はイーストの発酵力によって作られます。では、なぜ、発酵のいらなくて早くて簡単に膨らませるベーキングパウダーが使われていないのか、その両者の違いとはいったい何なのか、比較していきましょう。
イーストの生地作り
今回はイーストの入る生地とベーキングパウダーの生地の配合はすべて同じ配合にして、検証してみました。
今回は膨らませるための実験でもあるので、釜伸びしやすい配合を心がけてややリッチな生地にしています。
バターは生地の伸びをよくして、グルテンのキメを細やかにする働きがあります。卵も入れてあげると釜伸びをしてくれます。
こね上がりもしっかりと薄いグルテン膜ができるのを確認できるまでこねてあげました。グルテンができていないとボリューム不足になってしまいますからね。
どうでしょうか?この艶やかな感じ!
ここまで滑らかな生地に仕上がったら、発酵に入れていきます。
発酵では生地の大きさが2倍くらいになるまで、しっかりと時間をとってあげました。パンの膨らむ元はこのイーストの発酵したガスによるものなので、ここでの発酵が少ないと、いくらイーストが入っていても膨らまないパンになってしまいます。
ベーキングパウダー生地作り
先ほどのイーストの生地と同様の配合になっています。イーストのところだけベーキングパウダーに置き換えています。
ベーキングパウダーは使う生地の量に対して3~5%くらいの割合で使われることが多いので、今回は9gしようしています。
ちなみに、ベーキングパウダーの成分は炭酸水素ナトリウム(重曹)と膨張促進剤、コーンスターチなどが入っています。
ベーキングパウダーは熱を加えられたら、その反応がスムーズに進むように膨張促進剤が入っています。なので、重曹よりも膨らみやすいのが特徴です。そして、膨張促進剤が常温で反応しないように、コーンスターチなどの原料が入っていることが多いです。
先ほどと同じようにこねていきます。
こねている感じはほとんど違和感なく、イーストの生地との違いは感じられません。
同じくグルテン膜のチェックをして、こね上がりを確認します。
先ほどと同じように薄い膜が張るので、こね上がりです。
2つの生地の焼き上げ
2次発酵後の生地とベーキングパウダー生地を合流させて、焼いていきます。
右側がイーストを使って膨らませた生地。ずんぐりむっくりとした感じに一回り膨らんでいますね。
左側がベーキングパウダーの生地です。こちらは常温では全く膨らみません。
180℃のオーブンで16分焼いていきます。
検証結果
こんな感じに焼きあがりました。
あれ、ベーキングパウダーの生地は真っ白です。
そして全然膨らんでいない?
断面を見てみると、イーストを使った生地は気泡が大きくて、きちんと膨らんでいます。そして焼き色もきれいについています。誰がどう見てもちゃんとパンです。
ベーキングパウダーの生地は気泡はあるものの、とっても小さい気泡であんまり中で膨らんでいないのが分かります。
解説
ベーキングパウダーはイーストと比べると膨らむ力が弱いです。パン生地の場合、丈夫なグルテン膜をイーストの発酵では持ち上げられるのですが、力の弱いベーキングパウダーにはもち上げられません。
だから、ベーキングパウダーの生地は膨らまなかったのです。生地が膨らまない分、生地のキメが詰まってしまうので、火の通りを悪くなります。だから、ベーキングパウダーを使って作った生地は真っ白に焼きあがりました。
パン作りにはベーキングパウダーは向きませんが、液状のホットケーキなどのグルテンがあまりできていない生地などは膨らますことができます。
ベーキングパウダーが焼くに立つのはそのような液状生地と覚えておくと多と思います!