私たちが小麦粉を買うとき、ほとんどの場合がすでに製粉された状態だと思います。
コーヒーを趣味にしている方であれば、自分で豆を挽くことはあると思いますが、小麦を挽いてパンを作るってことはあまり聞いたことがありません。
でも、コーヒーもパンも香りがおいしさに直結していることは変わらないはずです。
そこで今回は挽きたての小麦で作るパンと市販の小麦粉を使って二つの仕上がりの比較をしてみたいと思います。
小麦の挽き方
今回は田中三次郎商店さんのご協力を頂いて家庭用の石臼をお借りすることができました。

お米の場合は内側のデンプンと外の皮が簡単に剥がれるため、粒の状態で精米することができますが、
小麦は外側の皮がデンプンにぴったりくっついてしまっているので、粉にしてから篩い分けていきます。
玄小麦を挽いたそのままの状態が全粒粉です。

ここから篩分ければ、よりデンプンの純度が高い白い小麦粉になります。
でも、今回は香りを生かした比較をしたいので全粒粉のまま使っていきます。
今回のレシピ
材料 | ベーカーズ% | 1個分 |
全粒粉 | 100% | 200g |
イースト | 1% | 2g |
塩 | 2% | 4g |
水 | 85% | 170g |
捏ねてる時の違い

挽きたての小麦は粉そのものがしっとりしている感じがしました。
おそらく、製粉された状態では表面積が大きくなって水分が抜けやすくなるはずなので、挽きたての小麦はより水分量が多いのかなと思います。
比較してみるとどうしても挽いてから時間が経っている小麦粉の方がパサついているようです。
また、挽きたての小麦粉は水分もたくさん含んで、まとまりも良いことがわかります。
発酵の違い

発酵させた時の違いはほとんど感じられませんでした。
小麦の鮮度とイーストの発酵についてはあまり関係がなさそうですね。
仕上がりの違い

外見の違いや食べる前の香りだけだと違いはそこまでありませんでしたが、口に入れた時にはその違いがはっきりわかりました。
挽きたての小麦の方が風味が良く口溶けも良かったです。
一番違いが出たのはふすまの食感です。
挽きたてのふすまは香りが強く口に入れた瞬間ふわっと風味が立ち込めて、食感も柔らかく食べやすかったです。
既製品の全粒粉も香りはしますが挽きたてには及ばず、ふすまの食感も固さを感じるものでした。
まとめ
挽きたての小麦は水分の含みも良く、食べた時の香りも良い。
また、口溶けも軽くてふすまの柔らかさに大きな違いを感じました。
また、今回は石臼挽きだったので粗めの粒子になりました。
生地の軽さを出すハード系には向きますが、ボリュームを出すのには少し難しいなと感じました。
結論、素材の風味を生かしたハード系のシンプルなパンを作る時には挽きたての小麦に軍配が上がる。
そんなことが今回の検証でわかりました。
流石に自家製粉は難しいにしても、小麦粉は新鮮な方が香りがよくて柔らかいパンが作れます。
これを教訓にするのであれば、まとめ買いよりも使い切れる量を買って常に新しい小麦粉を使えるように出きれば理想ですね。