シュー生地が膨らむ原理と綺麗に膨らませるコツ

自宅でのお菓子作りでむずかしいとされているシュー生地

今回はシュー生地の作り方の工程を追いながら、膨らむ原理をよりわかりやすく理論的に解説していこうと思います。

シュー生地の材料

材料分量(約25個分)
200g
無塩バター90g
2g
薄力粉120g
200~225g

作り方

1、鍋に水、バター、塩を入れて沸騰させる

バターが溶けるまでは弱火で加熱をして、バターが溶けてからは強火に変えてからしっかりと沸騰させます。

初めから強火にしてしまうとバターが溶ける前の段階で必要以上に水分が蒸発してしまい、小麦粉に含ませるべき量を確保できなくなってしまいます。

塩が入る理由としては、生地の味付けと、小麦粉のくっつく成分のグルテンを作りやすくするためです。少ない量でもきちんと仕事をしてくれるので、忘れずに入れてくださいね。

2、沸騰したら火を止めて薄力粉を入れてひとかたまりになるまで混ぜる

薄力粉は前もって振るった状態のものを使いましょう。

振るわないとダマが残ってしまい粉っぽい仕上がりになります。また、振るうと粒子が独立して水分の吸収も良くなります。

熱々の水分と小麦粉が一緒になると小麦粉のデンプンが糊化をします。たくさん水分を含んで柔らかいゲル状になります。糊化した状態が一番多く水分を含むことができます。

柔らかいと生地がしなやかに伸びて膨らむことができます。

また、水分がたっぷりだと加熱された時に水蒸気になって内側から生地を持ち上げて膨らませます。

つまり、ここできちんと糊化させることが良く膨らむ生地の条件になります。

3、生地を転がしながら弱火で加熱する

生地を加熱することで、きちんと糊化させていきます。

鍋底に生地が薄くくっついて膜が張る状態まで加熱しましょう。そこが糊化の見極めのポイントです。

その状態になればOKなので、生地はボールに移しておきましょう。

4、卵を数回に分けて生地になじませる

卵は加熱された時に生地を固める役割と、卵の水分は蒸発した時に生地を押し上げる働きをします。

卵の成分のほとんどは水分で、油(バター)の中に一気に入れてしまうと分離します。卵は少しずつ入れて混ぜることで卵のレシチンという成分の働きで水と油が均一にすることができます(乳化)

きちんと乳化した生地は綺麗に膨らむことができます。

卵の量に幅があるのは小麦粉の加熱具合によって入る量に誤差が生じるからです。

いい生地の状態はたっぷりすくい上げて落とした時にゆっくりと伸びて落ち、ゴムベラに三角形の状態で生地が残ることです。

絞った時に程よく立体感をキープするようにしましょう。

生地が固過ぎれば膨らみが悪くなりますし、ゆる過ぎれば高さが出なくて丸餅みたいな形に焼きあがります。

5、生地を天板に直径5cmくらいになるようにドーム型に絞り出す

生地は3〜4倍くらいに膨らむので、感覚を十分に空けておきましょう。

また、焼く直前に霧吹きを使って表面を水で湿らせておくか、余った卵を表面に塗っておきましょう。

そうすることで生地の表面が焼き固まるまで時間がかかり膨らんでボリュームが出るまでに猶予ができます。

6、200℃に予熱の入ったオーブンで焼く

加熱が始まるとシュー生地の表面に火が通り、水蒸気を閉じ込めるための薄い膜が張るようになります。

その後生地が100℃になると水分が水蒸気になり、次第に生地を膨らませていきます。

水蒸気に押し出された生地は端っこに押し出されるので、大きな空洞が生地の中心にできるようになります。

生地中の水分が蒸発しきると卵や小麦粉に火が入り焼けて固い状態になります。

生地が膨らみきって変化が見られなくなったら温度を180℃に下げて焼きます。

シュー生地は水分が残った状態だと、外側の皮が柔らかい状態なので途中で開けたり、焼き時間が短いとせっかく膨らんでもしぼんでしまいます。

合計で35分焼いたら、5分ほどオーブンの中に入れたままにして取り出しましょう。(余分な水蒸気を飛ばすため)

(加熱の目安としては200℃で20分180℃で15分です。)

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