焼き上げは、パンを作るための最後の作業であり、最重要な工程です。
どんなにこねや発酵がうまくいったとしても、焼き上げで失敗してしまうと、今までの努力が水の泡になってしまいます。
失敗とまではいかなくても、なかなか満足のいく焼き色に仕上がらないという経験はパン作りをしている人なら一度はあるでしょう。
このページではパンの焼き上げる時にありがちなパターンを3つ取り上げて、原因と改善策を考察していきたいと思います。
パターンその1
同じオーブンの中でも焼き色がつくものとあまりつかないものがある。
特にこのパターンは家庭用のレンジオーブンにありがちです。
なぜ、そのような焼き色の差が出てくるかと言うと、電気オーブンの仕組みが関係しています。
電気オーブンは赤外線を発生させて、パン生地に赤外線をあてることよってパン生地を加熱していきます。
赤外線はパン生地の表面から吸収されるので、外側から内側に向かって熱が伝わっていきます。
ここでポイントになるのが赤外線の性質です。赤外線は言い換えればレーザービームと同じ原理なので、まっすぐにしか進めないという特徴があります。
つまり、オーブンの中で焼き色がつきやすい部分はレーザービームが通る直線上にあり、焼き色がつきにくい部分はレーザービームが当たりにくいところあるというわけです。
一般的に、オーブンの壁際や天井が焼き色が濃くなり、中央に置いたパンほど焼き色がつきにくい傾向にあります。
では、どうすれば良いのか?
一番簡単な解決策は、7〜8割ほど加熱時間が経過した後、パン同士のポジションを変えることです。
よく焼けたパンがあれば、焼けていないパンと場所を入れ替えることで全体の焼き色を調節することができます。
一点注意が必要なのはパンに焼き色がつく前にオーブンを空けてしまうと温度が下がってしまい、パンをうまく焼き上げることができなくなってしまいます。
あくまで焼き色がついてから、場所移動を心がけましょう。
パターン2
食パンの上が焦げる。上段に入れたパンが焦げる
このパターンも赤外線が当たりやすい天井付近に生地があることが原因です。
さらに上段は赤外線が同じくらい当たりやすい壁面以上に熱が通りやすいです。
これも熱は上に移動する性質があるので、同じオーブンの中に入れていても上の方が焦げやすくなります。
上部が焦げてしまう時の解決方法は、アルミホイル一つで解決できます。
パンをレシピ通りの時間で焼いていて、このままいくと焦げそうだなという時には、パンの上にアルミホイルをかぶせましょう。
そうすると直接熱気が当たるのを防げるため、焼き色がつきにくくなるのです。
ここでの注意点は、パン生地の表面が焼き固まる前にアルミホイルをかけてしまうと、アルミホイルにパンがくっついてしまって剥がれなくなってしまうことです。
パターン3
生焼け
パンが生焼けの時は何が原因でしょうか?
いくつか要因があると思います。
1.発酵不足
パンは発酵する事で内側がスポンジ状に空気を多く含むようになります。
この発酵が十分でないと、小麦の密度が大きくなるので、火の通りも当然悪くなります。
発酵温度と時間がレシピ通りだとしても、生地の捏ね上げ温度が低ければ発酵不足になります。
しっかりと大きさとフィンガーテストで発酵の具合を確認するといいですよ。
2.オーブンの温度が低い、焼き時間が短い
途中で開けてしまったり、開けている時間が長ければオーブン内の温度は下がってしまいます。
基本はオーブンは開ける時間はなるべく短く、一度パンを入れたら焼き上がりまで開けないということです。
また、電気オーブンは予熱が上がるまでに時間がかかります、生焼けが続く場合には余熱の温度を10℃から20℃ほど高く設定して、焼くときに温度を戻すと改善することがあります。
3.具材の水分が多い
生の野菜やフルーツを使ったパンを作る場合、水気が残っていると、パン生地が水分を吸ってしまい、生焼けになることがあります。
パン生地だけなら火が通る時間や温度でも、具材が入れば生地の状態も変わるので、水分を多く含んでいる具材を使う時は必ず水気を切ってから使うようにしましょう。