パン教室開業の仕方〜事業計画書を作る編〜

この記事は都内で予約が取れないパン教室を運営する著者(完全感覚ベイカー)が実体験をもとにパン教室の開業の仕方について解説しています。パン教室開業に興味を持つ方に役立つ知識をお伝えできたら幸いです。

今回のテーマはズバリ事業計画書の作り方です。

事業計画書を書くメリットや書き方については多くのサイトで紹介されているので、ここではパン教室を運営するということに重点を置いて解説していきます。

事業計画書はたった1枚の紙を埋めるだけでOK

堅苦しい名前とは裏腹に記入する用紙はたった1枚。

この一枚を埋めるだけで自分のパン教室のプランがかなり具体的に見えてきます。

引用元:日本政策金融公庫「創業計画書」

書く項目は以下の通り

1.創業の動機

なぜ自分がパン教室をやろうと思ったかの思いの丈を書くところです。

たった4行の欄ですが、ここの思いがはっきりしている方がうまくいかなかったときとかを乗り越える心の支えになるところです。

「パン作りが好きだから」「教えるのが好きだから」「パン作りを通して人を幸せにしたいとか」口にすると力が湧いてくる自分なりの思いを書いてみましょう。

2.経営者の略歴等

今までの自分の経歴を書くところです。

正社員とかでなくても、アルバイトの経験でも良いかと思います。直接パン作りと関係していなくても自分のスキルや経験を棚卸しして何が武器になるかを考えるきっかけになるかと思います。

接客業をしていたのであれば、お客様に気持ちよくサービスを提供するスキルをお持ちでしょうし、育児などの経験があれば子連れOKのパン教室にしてみようとか、他のパン教室と差別化できるポイントが自分の今までの経歴に隠れていることが多いと思います。

3.取り扱い商品サービス

「取り扱い商品・サービスの内容」

パン教室であれば、パンの作り方をアドバイスするとかになると思います。

その他にオンラインレッスンなどを別の形態で売上をあげる場合や自分で作ったレシピやテキストを販売する場合などはこちらに記入すると良いかと思います。

「セールスポイント」

自分のお教室の強みを書くところです。例えば「少人数制で細やかなサポートができる」とか「レッスン後の質問が無料でアフターフォーローが充実している」とか自分が実現可能な範囲で他のパン教室にはないポイントを見つけましょう。

「販売ターゲット・販売戦略」

メインの客様はどんな方にするのかを明確にするところです。若い独身女性をターゲットにするのか子育てを終えた世代に専業主婦をターゲットにするのかで、戦略が変わってきます。

ターゲットの選定の仕方は自分が理想のお客様を選ぶのではなく、こんな人なら自分のサービスが最大限に提供できるという視点が大事だと思います。

例えば、イケメンの若い男子が多く通うパン教室を目指すよりも小さいお子さんがいる新米ママさんが安心して通える教室の方が現実的ですし、パンのことも子育ての悩みも相談できたりお客さん同士のつながりもできるのでサービスが最大化すると思います。

競合・市場など企業を取り巻く状況

パン教室という市場全体の状況について自分の事業と関連があることについて書くところです。

例えば、おうち時間が増えてお家でできる趣味を探している人が多いことや、オンラインレッスンが世間に浸透してきていることなど、自分のやろうとしていることが時代にあっているのかどうかを書くと良いかと思います。

4.取引先・取引関係など

販売先

一般の方をお客様にする場合は「一般消費者」で良いかと思います。

仕入れ先

富澤商店やcottaなどの店舗やネットから製パン材料が仕入れられるのでその旨を記入すると良いでしょう。

外注元

レシピ制作の委託や印刷物などの作成を外部にお願いする場合などはその業者名を記入すると良いでしょう。おそらく個人で開業する場合は一人で進めることが多いと思うので「特になし」などで良いかと思います。

5.従業員 6.お借入の状況

ご自身の状況に応じて記入してみてください。

7.必要な資金と調達方法

事業を今度始めるにおいて、必要な資金と調達方法の概算を記入する欄です。必要資金と調達方法の金額が同じになるように記入してください。

「設備資金」

物件を借りるのか、ご自宅を改装するのか、そのまま部屋の一室を使うのかでかかる資金が変わってくると思います。物件の取得金額や改装費などは業者に見積もりを依頼すると良いかと思います。また、教室を始めるにあたりオーブンや発酵器、麺棒など買い足す道具なども出てくると思います。それも含めて計算してみましょう。

「運転資金」

パン教室を続けていく上でかかってくる費用です。パンを作る小麦粉やバターなどの材料費や水道光熱費、インターネット代などがこれに含まれます。

8.事業の見通し

パン教室をすることでどれだけの経費に対して売上があって、どれだけ利益が残るのかを記入するところです。

「売上」

売上の計算式は

「客数」×「単価」=「売上」

なのでまずはレッスンの金額と1レッスン何名まで参加できるのか、そして月何回レッスンをするのかを決める必要があります。

「売上原価」

レッスンをするにあたり原料費がいくらかかるのかを記入する欄です。

「経費」

それぞれの項目に沿って概算を記入してみましょう。

「利益」

「売上」ー「売上原価」ー「経費」= 利益です。

記入する項目は以上になります。

事業計画書を記入することで、これから自分がやっていくパン教室がうまくいくのかどうかが可視化できるかと思います。もちろん計画なのでその通り進むとも限りませんし、軌道修正しながら変化していくのが事業です。

自分に足りないスキルや経験だったり、始める時期についても検討できると思うのでぜひ記入することをお勧めします。