
焼きたてのパンは食べたいけど、こねている時間や手間がかけられないことってありますよね。
時間をかけずにいつでも焼きたてのパンが作れたら、お客さんをおもてなしするときや忙しい朝の時間にも使ってみたいと思いますよね!
今回の記事ではいつでも焼きたてのパンを焼くために生地の冷凍について書いていこうと思います。
多くのパン屋さんが冷凍生地を使っている!?

パン屋さんと聞くと生地からお店でこねて、発酵させて、焼いて、と一連の作業をしているイメージがあると思います。
もちろん、そういうお店もあります。
しかし、都市部などで十分な広さが取れない所や、人手不足で職人が確保できないベーカリーチェーン店では、冷凍の生地が使われていることが多いようです。
現実として冷凍パン生地の出荷は増えているそうです。
私たちが気がつかないだけで、冷凍パン生地はとても身近なところにあるのです。
また、パン生地を冷凍しても味が大きく落ちるかというと、そういうわけでも無いようです。
むしろ機械で管理できているので、いつも同じ品質のものが作れるそうです。
では、家で作った生地を冷凍するときにどんな点に注意すればいいのでしょうか?
特別なことをする必要があるのでしょうか?
冷凍するとパン生地にどんな変化が起こるか

パン生地を冷凍するときに起きる大きな変化は水分が氷になることです。
水は氷になるときに体積が増えるという特徴があります。凍らせる前よりも大きくなるのです。
生地に含まれている水分が凍ると、パン生地の中のグルテンというパンをまとめている網目の一部が壊されてしまいます。
もし、冷凍させる前のパン生地のグルテンが弱いと凍らせたときにさらにグルテンが弱くなるので、膨らみにくく弾力の少ないパンになってしまいます。
さらにパンの命とも言える酵母も水分を含んでいるので、生地を凍らせるときに酵母も膨らんだ水分によって細胞が破裂するので、死んでしまいます。(とってもかわいそうですね)
パン生地を冷凍させるとこのような変化があります。では、冷凍生地はどのよう作ればいいのでしょうか?
生地を冷凍するときのコツ
結論から言うと、ポイントは3つです
1、グルテンの多い小麦粉を使う
2、水分量を少なくする
3、浸透圧に強い酵母を使う
1、グルテンの多い小麦粉を使う
生地を冷凍すると、どうしてもグルテンはある程度壊されてしまいます。多少壊されても大丈夫なように、生地自体のグルテンの量を多くしておきます。
そうすると、解凍しても弾力がある状態なので、イーストが作ったガスを閉じ込めることもできるし、焼いた時もきちんと膨らみます。
もちろん、食感もモチモチ感もあるパンに仕上がります。
2、水分量を少なくする
パンは水分によってまとめられています。水分が少ないと生地がまとまらず、粉っぽさが残ってしまいます。
しかし、バターや卵を使うことで、水分以外で粉をひとまとまりにすることができます。
水以外の副原料を多く使う生地(リッチな生地)にすると冷凍した時の水分の膨張が少なくて済むので、生地が安定しやすくなります。
3、浸透圧に強い酵母を使う
酵母にもいろんな種類がいます。
酵素が多い酵母や発酵が早い酵母、いい風味を作り出すのが上手な酵母…
もちろん、寒い温度に強い酵母もいます。
商品名でいうと白神こだま酵母や金サフなど糖質に強い酵母は冷凍しても細胞が破裂しにくいので、解凍した後もきちんと復活して発酵をまた始めてくれます。
冷凍生地に使う原料のポイントはこの3つですね。
実際に冷凍生地を作ってみよう。

材料
- 強力粉 200g(100%)
- 塩 3g(1.5%)
- 白神こだま酵母 4g(2%)
- 砂糖 24g(12%)
- 卵黄 2個分(50g)(25%)
- バター 40g
- スキムミルク 4g(2%)
- 水 80g(40%)
手順
1、生地をまとまるまでこねていきます。
2、表面がつるりと綺麗になったら発酵させます。
3、35度で60分が目安です。
4、一次発酵が終わったらガスム抜き、分割をします。
ちなみにこのベンチタイムのタイミングで冷凍することができます。
ここで冷凍した場合は、解凍した後に成形、2次発酵、焼き上げの順で仕上げることができます。
ここで冷凍する生地は小さいパン屋さんが使っている冷凍生地ですね。
4、今回のテーマは解凍後にすぐ焼くことをテーマにしているので、冷凍のタイミングは、ベンチタイムをして、さらに成形を完了させたら、2次発酵をさせずに冷凍の順番です。

これで冷凍生地の完成ですね。
解凍方法
朝起きてすぐにパンを焼きたいときは、冷凍した生地を12時間前に冷蔵庫に移して冷蔵発酵させます。
2時間後に焼きたい場合は冷凍のまま40度で90分発酵器やオーブンの発酵機能を使って解凍させます。

焼くときの注意点はしっかりと解凍できていること、冷凍状態の時から大きさが1.5〜2倍くらいに膨らんでいることを確認してから焼きましょう。
こんな風に冷凍してもふっくら焼き上がります!

味も冷凍したからといって劣化しているようには感じないと思います。
ちなみに保存期間は2週間が目安ですが、なるべく早めに焼くことをおすすめします。
冷凍期間が長すぎると酵母が死んでしまうことがあるので。