「湯種仕込み」や「湯種製法」はパン屋さんの食パンなどでよく見かける表記ですが、実際に湯種製法がどんな作り方で、どんな特徴があるかと答えられる人は、あまり多くありません。
一部のパン好きの方々や自宅でパン作りをする人なら、一度は作ってみたくなるのがこの湯種食パンですが、実際に作るとなると難しそうと思っている方が多いパンでもあります。
湯種食パンの特徴
湯種食パンの特徴としては、もちもち感やしっとり感が強く、時間が経ってもパサつきにくく、固くなりにくいのが特徴です。
特に自宅でパンを作る人で、やわらかいパンを作りたいと思っていたり、日にちが経ってももちもち、ふわふわなパンを作りたいと思っている方にはぜひチャレンジしていただきたいのがこの湯種製法です。
そもそも湯種とは
小麦粉に熱湯をかけて糊化させたものを湯種と言います。
糊化したデンプンは食べやすい状態になるだけでなく、デンプンの甘みも増します。
また、糊化をするとデンプンはより多くの水分と結びつくことができ、もっちりした食感になります。糊化させた小麦粉のデンプンをパン作りに使うことで、水分量が多くもちもちでしっとりした生地を焼き上げることができるのです。
ちなみにお米文化の日本人はこの糊化した、ねっとりもちもちの食感が大好きな民族といわれています。私は湯種食パンが一番日本人に好まれるパンだと思います。
メリットだらけの湯種製法ですが、少しだけ時間と手間がかかります。湯種が完成するまでには糊化させたデンプンを12時間ほど休ませて熟成させる時間が必要があるので、湯種の仕込みはパンを焼く前日から始まります。
湯種食パンの作り方
湯種食パンの材料
【湯種生地】
材料 | ベーカーズ% | 1斤分(g) |
強力粉 | 30 | 85 |
熱湯 | 30 | 85 |
【本ごね生地】
材料 | ベーカーズ% | 1斤分(g) |
強力粉 | 70 | 195 |
砂糖 | 10 | 30 |
塩 | 1.5 | 4 |
イースト | 1.2 | 4 |
水 | 42 | 115 |
無塩バター | 10 | 30 |
作り方
湯種の作り方はとっても簡単!熱湯を小麦粉にかけて手早く混ぜるだけです。
湯種は寝かせると熟成が進み甘みが増してくるので、作ってから12時間ほど冷蔵庫で寝かせてから使うのがおすすめです。
生地がひとまとまりになったら、乾燥しないようにラップをして冷蔵庫で12時間以上寝かせます。
湯種生地とは別にパンの生地も作ります。
特に今回の湯種を入れるパンはグルテンの量が湯種が入る分だけ少なくなるので、特に一生懸命こねてグルテンをつなげることが重要になります。
湯種食パンは本こね生地に対して30~50%の割合で湯種が入ります。湯種の配合が多ければ多いほど膨らみは弱く、目の詰まった重たいパンに仕上がります。
今回の配合では、湯種を30%配合しているので、程よく膨らみつつ、どっしりとした重さも程よくあるパンに仕上がるように作りました。
寝かせておいた湯種と合わせます。湯種を均一になじませるために、細かくちぎりながら本ごね生地の中に入れていきます。
生地がこねられたら、乾燥しないように生地にラップをして発酵させます。
発酵完了の目安は、大きさが2倍くらいに膨らむまでです
ガス抜きができたら、生地を丸めて10分間休ませます。
バターを塗った1斤型に入れて発酵させます。