本格的なパンのレシピを買ってみてみると、「ベーカーズパーセント」という言葉が使われいます。
単位もついていないし、なんか難しそうだなと感じたことはないでしょうか?
この記事では、ベーカーズパーセントについて解説するのはもちろんのこと、どんなふうに見れば有効に活用できるかも私なりの理解を含めて解説しようと思います。
このベーカーズパーセントを知れば、パンの作り方はもちろんわかります。
さらに、
そのパンがそんな食感で、
ベタつく生地なのか、
まとまりやすい生地なのか、
それがなんとなくわかるようになります。
ベーカーズパーセントとは
早速、結論から話すとベーカーズパーセントとは使っている小麦粉を100とした時にどれだけの割合その材料が入っているかを表したものです。
小麦粉に対するパーセントがわかれば、出来上がりの量を変えても同じ品質のパンが作れるということです。
例えばこんなレシピがあったとしたら、
- 強力粉 (100)
- イースト (1)
- 塩 (2)
- 水 (60)
- 砂糖 (5)
- バター (5)
- 卵 (12)
小麦粉を100g使うときは他の材料の数字をそのままグラムにすれば、このレシピのパンが作れます。
小麦粉を200g使うとしたら、他の材料も2倍にした量を使えば2倍の量作ることができます。
ベーカーズパーセントで見るべきところ
ベーカーズパーセントを適当に組み合わせればパンが作れるというものではないので、それぞれの材料の基準があります。
その基準をなんとなくでも頭の中に入れておくと、どんなパンができるのかということがわかるようになってきます。
1.インスタントドライイースト

基準:0.4~1%
ストレート法で使われる量だと、1%前後を基準に使われていることが多いです。
イーストの量が増えれば、その分発酵するスピードも速くなって結果的には早くパンを焼き上げることはできます。
しかし、イーストが多いと独特な発酵臭がきつく出てしまうことがあります。
また、イーストを多くして仕上げるパン乾燥しやすくてパサつくやすくなります。
一般的にはイーストを少なくして、時間をかけて作るパンは風味がよくしっとり感が続きやすいとされています。
例外としては、副原料に風味が強いものを多く使う場合や、発酵が遅いパンには多めに使うこともあります。
具体的にはクロワッサンやブリオッシュなどは副原料の風味が強く、発酵も低い温度でさせなくてはいけないので、作業の利便性を考えて多めに使うことがあります。
中種法、ポーリッシュ、オーバーナイト法
基準:0.2~0.5%
長期間の発酵を前提としたこれらの製法は時間をかけて酵母を育成していくので、添加量が多いと過発酵になってしまい風味が悪くなってしまいます。
よって使うイーストの量はストレート法で作るよりも少なくなるのが普通です。
天然酵母(元種)
基準:30~40%
天然酵母元種はインスタントイーストほど酵母が凝縮されていないので、重さに対して発酵が鈍くなります。
もちろん作り方とどんなパンにするかによって変わってきますが、30%前後使われることが多いです。
生イースト
基準:3%前後
発酵力は強いですが、インスタントイーストよりも酵母の密度が低いので、インスタントイーストの3〜4倍の量で使われることが多いです。

2.水分

基準:60~70%
60%よりも少ないと小麦粉をまとめるのが大変なくらい固い生地になります。
この割合なら粉っぽさがなくなればOKというところが捏ね上がりのゴールになってくると思います。
70%以上だと手ごねでまとめるのを大変だと感じるくらい水っぽくべちゃっとした感じになります。
70%以上水分を使ったレシピはいわゆる高加水パンに分類されるので、手ごねでしっかりと弾力を出して仕上げるパンというより、ボールの中で折りたたんで柔らかいままで仕上げていく生地がゴールになると思います。
いわゆる家庭製パンのハリがあってもっちりした生地の水分量としては63~68%くらいが妥当だと思います。
水の他に卵やバターも水のように小麦粉をまとめる効果があるので、バターや卵の兼ね合いを見て調節しましょう。
3.塩

基準:2%前後
塩はパンの味付けになったり、発酵の抑制の効果があります。
また、全体量の2%ほど使うことで雑菌の繁殖を抑える効果があるので、入ると入らないのでは大きな違いがあるのです。
副原料があまり入らず、シンプルな生地(リーンな生地)の場合などはしっかりと塩味を聞かせるために2%よりも多く入ることもあります。
4.砂糖

基準:0〜15%
使うパンと使わないパンがあります。
砂糖は生地に甘味をつける効果と、イーストの栄養になって発酵を促進する効果があります。
菓子パンなどには多く使われる傾向があります。
使う量が多いと、浸透圧が高くなるので、反対にイーストの活性が下がってしまうことがあります。
砂糖が多いときは耐糖性のあるイーストが売られているのでそれを使うといいと思います。
また、砂糖を多く使うと生地から水分が引き出されるので、ベタベタてこねにくくなります。
5.卵
基準:0〜50%
卵は加熱される前は水分と同じように小麦粉をまとめる効果があります。
水と大きく異なる点は加熱したら固まるということです。
つまり、卵の配合が多いパンは少し固さのあるパンになります。
ブリオッシュなど卵をメインに小麦粉をまとめるパンには卵を使って、ケーキのようなさっくりとした固さのある食感に仕上げます。
卵は入らなくてもパンは作れますが、歯切れのいい食感にしたい場合に使われることが多いです。
ちなみに、卵白と卵黄で性質がちがってきます。
卵白ほとんどが水分で卵黄が油分なので、卵の性質をきちんと生かしたい時には卵黄だけを使うというレシピも多いです。
6.バター

基準:0〜30%
バターは生地に伸展性を与えて、しなやかな状態にします。
バターが入ることで、生地の中に油の粒が無数に作られます。
それが、生地中の水分の蒸発を抑えてしっとりさせる効果があります。
使う量が多いほど、パンは柔らかくなり、少ないほどハードな食感になります。
(だからハード系のパンには使われていないことがほとんどです。)
ただし、バターが多いと生地が柔らかくなりすぎて、生地がまとまらなかったり、生地の温度か高くなってくると溶け出して分離してくることがあるので、使う量と温度の管理が大切になります。
まとめ
ベーカーズパーセントを見ながら色々な生地をこねていくにつれて、そのレシピがどんなパンになっていくのかがわかるようになってきます。
その感覚がつかめると、自分でレシピを作ることもできるし、既存のレシピを自分好みにアレンジしても失敗しなくなってきます。
今後、レシピを見るときはベーカーズパーセントの表記がなくても、自分でベーカーズパーセントに変換して作ってみると、レシピがなくてもパン作りができるようになっていきますよ!