グルテンフリーのパンの代表格、米粉だけで作るパンを紹介いたします。
米粉しか使わないパンは、焼き方を気をつけないと表面が石のように硬くなってしまって、バリバリと亀裂が入ってしまいます。
私自身も何度か米粉のパンに挑戦しましたが、尽く失敗をしてきました。
でも、今回はふわふわに仕上げることができたので、レシピとそのコツを伝授したいと思います。
レシピ(ベーカーズ%) 中パウンド型
- 米粉(ミズホチカラ)(100%) 180g
- イースト(1.5%) 3g
- 砂糖 (8%) 14g
- 塩 (1.5%) 3g
- 水 (85%) ~153g
- サラダ油 (6%) 10g
生地の体積は焼くとおよそ2倍に膨らむので、使いたい型の容量の半分の量で生地を仕込むといいですよ!
この生地のポイント
米粉はミズホチカラを使う
米粉は品種によってパン作りに向いているものとそうでないものがあります。
特に今回使うミズホチカラはアミロペクチンの量が多く、他の添加物を入れずにパンが焼ける米粉です。
(他の米粉の場合は、タピオカでんぷんなどを混ぜて使って生地のつながりを強化しないとパンにならないものもあります。)
水分を調節しながら入れていく
米粉は品種によって給水率が大きく違います。
一度に分量の水を入れてしまうと、水分の入れすぎの原因になりますよ。
生地の様子を見ながら少しずつ入れていきましょう。
液体油脂を入れる
米粉のパンは焼いた時に型などにとてもくっつきやすいです。
サラダ油を生地に使うことでくっつくのを防止して、パンをしっとりさせる効果があります。
液体油脂であれば代用加能なので、米油などでもOKですよ。
作り方
型を準備する
クッキングシートをカットして、使いたい型を覆っていきましょう。
そのまま焼いてしまうと、生地がくっついて型から離れなくなってしまいます。
(ちなみに、米粉のパンは大きくなればなるほどボリュームや軽さを出すのが難しくなるので、小さめの型がおすすめです。今回使用しているのは6×17×7cmのパウンド型です。)
生地を作る
水以外の材料をボールにまとめて入れて軽く混ぜます。
水は人肌くらいに温めたら、10gほど残してボールの中に入れていきます。
水は温めておくことでイーストの発酵が早くなり、短い時間でパンを完成させることができます。
生地の様子を見ながら水を加えていきます。
理想の状態は、生地がトロトロつながってリボンのように落ちていく感じです。
生地でさらさら〜っと文字が書けるくらいの状態がいいですね。
米粉によって入る水の量が違うので、分量通り入れることよりも、状態を見て判断できるとベストです!
(米粉はグルテンを一切含んでいないので、こねる作業はいりません。)
準備しておいた型の中に生地を注ぎ入れます。
生地はさらさらしていて水っぽいので、何もしなくても平らな状態になります。
一次発酵(35度 20-30分)
米粉の生地は乾燥にとても弱いので、きちんとラップをして発酵に入れていきます。
発酵前と比べて1.7〜2倍くらいの量まで生地が膨らめば発酵完了です。
使う水の温度や作業場の気温によっても発酵の時間は変わるので、大きさで状態を判断しましょう。
発酵が終わる10分ほど前にオーブンを160度で余熱を入れておきます。
ちなみに米粉のパンの発酵はこの一回のみなので、通常のパンよりも早く仕上がります。
焼成(160度15分ー200度15分ー200度15分)
型をアルミホイルでぐるぐる巻きにして、生地を蒸し焼きにできるようにします。
これが米粉パンの最大のポイントです。
きちんと蒸し焼きにできていないと表面が乾燥してバリバリに固くなって見栄えも残念な感じになります。
ちなみにこちらがアルミホイルをケチってきちんと蒸し焼きに出来なかったパンです。ぴえん。
焼き始めの温度は160度の低温で15分焼いていきます。
ゆっくりと加熱する事でイーストがより長い時間生き延びるので、ボリュームが出るようになります。
その後は温度を200度に上げてさらに15分加熱していきます。
この加熱で、生地に火が通り固化してパンを支えられるような状態になります。
最後にアルミホイルを外して200度で15分の加熱です。
ここで表面の余分な水分を飛ばして焼き色をつけることで香ばしいパンにしていきます。
焼き上がりがこちら。
外見はまさにパン!
そして、ふわふわで柔らかくしっとり。
作業の工程もシンプルで、ポイントさえ抑えればきちんと成功するのでぜひチャレンジしてみてください。
編集後記
「米粉100%でふわふわなんて不可能だ。」
これまでずっとそう思っていました。
以前に検証動画で米粉の割合を変えてパンを焼き比べたことがあり、米粉の割合が増えれば増えるほど、生地はパサついてボリュームも出なくなっていくことを知っていたからです。
でも、ネットの情報から米粉100%でふわふわのパンを焼く方法があることを知りました。
米粉のレシピをひたすら研究されている方がいて、その方法を試行錯誤しながらそのレシピを考えたそうです。
そして、その方はなんとレシピ本まで出されている!
これは買って研究するしかないと思いました。
レシピを見て驚いたのは、米粉のパンは小麦のパンの知識がほとんど役に立たない、全く違うジャンルのものでした。
算数と国語くらいの違っているようなものでした。
人によっては米粉のパンはパンではないと思う人もいると思いますが、これはこれで新しいジャンルのパンだと私は思いました。
新しい食材の新しい食感のパンに出会って、また一つパン作りが好きになりました。
パンの世界はまだまだ開拓するところはいくらでもあるし、もっといろんな世界が広がっているんだな。と、レシピを作ってみてそんなふうに感じました。
完全感覚ベイカー