一般的な湯種の作り方は小麦粉に熱湯を回しかけることで、デンプンを糊化させて作ります。
しかし、少ない量の湯種を作るときにはお湯の温度が下がりやすく、容器に熱を吸収されたりして完全にデンプンが糊化しないということが、私の経験上たくさんありました。
多めに湯種を仕込めば解決するのですが、その都度、湯種を多めに作って捨ててしまうのももったいない気がして、どうにか必要な分だけ湯種を仕込めないものかと試行錯誤してみた結果、電子レンジで作るとういう方法を編み出しました。
電子レンジでも湯種は作れるのか
湯種の原理をもう一度確認してみたいと思います。
デンプンに熱湯をかけることで糊化させたものが湯種です。つまり、デンプンが糊化してさえすれば湯種と呼べるのではないでしょうか。
(ちなみに種は酵母のことを指すので正式には種とは言わないそうです。レシピによっては湯捏ねと表記しているものもあります。)
温度が不十分で糊化仕切らなければ、熱湯をかけても湯種にならないです。
今や煮物やパスタでさえ電子レンジで調理できる時代になりました。
小麦粉を糊化させるなんで簡単なことです。
そこで今回は実際に電子レンジで湯種を作って、その湯種でパンを作ってみました。
湯種で作るクルミパン
材料(6個分)(B%)
【湯種】
- 強力粉 40g(20)
- 砂糖 6g(3)
- 塩 4g(2)
- 水 50g(25)
【本捏ね生地】
- 強力粉 160g(80)
- イースト 2g(1)
- 水 100g(50)
- バター 16g(8)
- クルミ(ロースト済み)100g(50)
作り方
電子レンジで湯種を作る
湯種の材料全てを耐熱容器に入れてひとまとまりになるまでかき混ぜます。
20秒電子レンジで加熱した後、一度取り出してかき混ぜます。(火傷に注意してください)
更に20秒電子レンジで加熱して、かき混ぜ、生地が乳白色で粘り気がある状態になれば完成です。白っぽい色が強いときは10秒ずつ加熱して調節していきます。
(動画では40秒一気に加熱していますが、途中でかき混ぜたほうがムラなくキレイに仕上がりました。)
湯種が完成したら、ラップを密着させて包み、冷蔵庫で6〜12時間ほど生地を休ませます。
本こね生地をこねる
本こね生地のバター以外の材料をボールに入れひとまとまりになるまでゴムベラで混ぜて、まとまってきたら、台の上に出して捏ねます。
生地にまとまりが出てきたら湯種を少しずつちぎりながら加えて均一になるまでなじませるように捏ねていきます。
馴染んでは湯種を加え、馴染んでは湯種を加えるのを繰り返して全ての湯種を生地に加えていきます。
湯種が全て入ったところでバターを生地に入れて捏ねます。
生地の表面に滑らかさと光沢が出てきたら、こねあがりです。
湯種を使った生地の場合はグルテン膜を作りにくいので、グルテン膜がキレイに張るかをチェックすることで、仕上がりのボリューム不足は防げます。
生地が完成したら、クルミを生地に混ぜ込んでいきます。
クルミが均一にいきわたったら、丸く形を整えて一次発酵に入れます。
一次発酵
40℃で40分発酵させていきます。
発酵前の生地を丸めるところで、クルミがきちんと包みこまれていることが発酵でボリュームを出すポイントになります。
丸める時に生地が分厚いところから全体を包み込むようにすることで、キレイに包むことができます。
一次発酵が終わったら、ガス抜きをして生地を6個に分割します。
分割後の丸め直しもクルミがなるべく外に出ないように生地の分厚いところを探して、その部分で包み込んで行きます。
丸め直しができたら、10分間生地を休ませます。(ベンチタイム)
成形
閉じ目を上にした状態で軽くガスを抜いて丸く形を整えます。
生地に6箇所切り込みを入れます。
花形に形が整ったら中心に形のキレイなクルミを押し込んで天板に並べます。
二次発酵
全ての成形が終わったら、生地が乾燥しないようにラップやビニールをかけて二次発酵に入れます。
40℃で25〜30分発酵させます。生地が緩んで大きさが1.2倍くらいの大きさになって入れはOKです。
焼成する前に焼き色をキレイにつけるために生地の表面に溶き卵を薄く塗ります。
焼成
220℃に余熱したオーブンで14〜16分焼きます。
(焼き色を見ながら焼き時間の調節をしてください。)
レンジ湯種は成功したのか
今回は実際に電子レンジで作った湯種でパンを作ってみました。
味、食感共に湯種パンとして十分に美味しいものが出来上がりました。
湯種生地独特のムチっとした弾力やしっとり感、風味まで全く問題なく作れました。
きっと今回のレンジで湯種を作るのはこれから定番化していきそうです。