19世紀にポーランドで開発されたポーリッシュ法は別名「液種法」とも呼ばれ、多めの水分で仕込む発酵種はどんなパンを作るにも相性がいいとされています。
今回はそんな、オールラウンドに使えるポーリッシュ法の特徴や手順をここでは解説していこうと思います!
ポーリッシュ法とは
ポーリッシュ法とは、まず、小麦粉、小麦粉と同量の水、そして酵母を加えて、少し水分が多めのドロドロな発酵種をつくることから始まります。
そして、作った発酵種は低温で一晩以上寝かせて熟成させたのちに、新しく作った生地の中にその発酵種を加えてパンをつくる製法のことを言います。
このように前もって作った発酵した生地を加えることによって、より芳醇な香りともっちりした食感のパンを作ることができます。
製法としては中種法ととてもよく似ています。
しかし、ポーリッシュ法は一般的な中種法よりもはるかに多い水分で発酵種を作るのが特徴で、発酵種は中種法よりもずっとべちゃべちゃです。
また、本ごね生地に加える量もポーリッシュ法では20〜40%と中種法に比べると少なめです。
ポーリッシュ法の発酵種は水分を多く含むため、生地中の酵母が効率的に水分を利用できるのです。つまりポーリッシュ法は他の製法よりも発酵がスムーズに進むのです。
また、水分を多く含む発酵種はグルテンのつながりがゆるゆるなので、こねる時に生地が傷みにくく、しっかりとこねても生地が傷みにくくグルテンも多く作れます。
特にポーリッシュ法はパンにボリュームを出したい時に威力を発揮します。
ポーリッシュ法の手順(食パン一斤)
1.発酵種を作ります
- 強力粉 60g
- イースト1g
- 水 66g
全ての材料を混ぜ合わせて、室温20℃で3時間発酵させた後、冷蔵庫にて12時間から48時間寝かせます。
(ちなみに寝かせる時間が長いほど、発酵が進むので、酸味が強いパンに仕上がります。)
2.本ごね生地を作る
- 強力粉 240g
- 液種 上記すべて
- イースト1g
- 水130g
- 全卵 30g
- 砂糖 16g
- バター30g
ポーリッシュ法の特徴は、本ごね生地の計量の段階で、一緒に混ぜ込んで作ることです。
これができると、ホームベーカリーなどにも応用が利くところが嬉しいですね!
生地がまとまるまでこねていきます。
3.一次発酵
40℃で40分発酵させます。
すでにできている種を使っているため、発酵の進みが早く、イーストの量も少ないので、嫌なイースト臭もほとんどしないので、ワンランク上のパンが作れます。
4.分割、ベンチタイム、成形
一斤型で焼く場合は重さが同じになるように2等分に分けて、丸めてから、10分間の休憩をさせます。(ベンチタイム)
ベンチタイムが終わったら、生地を12cm×24cmの長さに伸ばして長細くなるように三つ折りにします。
そして手前からくるくると巻いて、型に詰めていきます。
5.二次発酵、焼成
今回は食パンということなので、2次発酵は焼き型の7割くらいのボリュームになるまでしっかりと時間を取ります。
焼き時間は一斤型で170℃、25分です。
比較的低い温度で焼き上げることでしっとりと仕上げていきます。
ポーリッシュ法でつくるパンの特徴
ポーリッシュ法を使うことのメリットは発酵が安定すること。そして、パンに発酵食品としての風味を与えることです。
家庭で作る王道のストレート法は素材や作る環境によって、生地の状態や発酵の仕方など大きく影響を受けるので、同じパンを安定的に焼くのはとても難しいとされています。
そこで、あらかじめ作っておいた発酵種の液種を使うことで、一定のクオリティのパンを安定してつくることができます。
また、時間をかけて液種の水和した生地を加えることで老化しにくくなることも嬉しいポイントです。