ある程度、パンが作れるようになってくると、次のステップとして、「材料からこだわってオリジナルの美味しいパンを作りたい」と思う人が多いんですよね。今回はそんな人に向けてパンの工程の理由や、素材の使い方について記事を書いてみました。
美味しさの要素って?
みなさんは美味しいパンって一体どんなパンを思い浮かべますか?
ここでは、おいしさを4に分けて考えていきますね。
1.しっとり感
一つ目はパンを食べた時に感じる「しっとりと柔らかい舌触り」です。
ハード系の硬い食感のパンでも、生地の瑞々しさを感じるパンって美味しい!って思いますよね。
その反対に、生地が乾燥していて、ぼそぼそで水分奪われる感じのパンって美味しくないですよね。
おいしいパンにはやっぱりしっとり感って大切です!
2.パンの芳香
2つ目は、パンをちぎった時や一口かじった時のふんわりと香るパンの風味です。パンの香りがしっかりとするパンってやっぱりおいしいパンの条件でだと思います。
3.小麦の甘さ
一口噛むごとに甘さを感じるパンって美味しいなって感じますよね。しっかりと小麦本来の甘みが生きているパンって安いパンには出せないおいしさだと思います。上質なパンの第一条件が小麦の甘みがしっかりすることだと思います。
4.具材と生地のバランス
この間、あんぱんを作った時のことです。あんこが缶詰の安いやつしか手に入らなくて、それで作ることにしました。すると、パン生地は美味しいんですけど、あんこがイマイチ美味しくない。あんぱんとしてトータルで考えるとイマイチな仕上がりになってしまいました。この時はもっと美味しいあんこを用意できなかったことを本当に悔やみました。
パンに使う材料一つ一つきちんとこだわるのって大切ですね。
美味しいパンを作るには
1.しっとり感を出す
どんなパンを作るにしても、パンをしっとりさせるのに共通してる言えることがあります。
それは、
•しっかりとグルテンができていること
グルテンは小麦に水を加えてこねればできる膜状のものです。このグルテンはこねればこねるほど作られていきます。強いグルテン膜は水分を外に蒸発するのを防いで、水分を生地の中にキープしてくれます。
反対に生地のこねが足りなくて、弱いグルテンのまま作ってしまうと水分を閉じ込めておくことができなくて、パサパサな食感になってしまいます。
•水分量が適正であること
また、グルテンも水分が小麦の重さの70〜80%の時にできます。ビギナー向けのレシピだとこねやすさを重視した結果、この水分量が少なく書かれていることがほとんどなんですね。
この方法で作ると、焼きたてはおいしいのですが、2日目以降が硬くなってしまいがちです。
慣れてきたら試しにちょっとだけ水を足してこねてみてください。少しこねにくくなりますが、2日目以降もしっとりとした食感が残りやすくなります。
2.パンの芳香を出す
芳香に関しては、
・使う酵母
・発酵のさせ方
この2つが大きく関係しています。
(もちろん、酵母のガスをためて置けるようにきちんとグルテン膜ができていることが前提にはなりますが…)
酵母も様々な種類があり、発酵のスピードを重視したタイプのものやいい香りを出すのに特化したものなど、種類によって様々です。上級者になると作るパンによってこの酵母を使い分けたりします。酵母の特徴を知ってから使い分けたいですね。
また、発酵のさせ方もベストなタイミングがあります。
例えば発酵が不十分だと、ふくらみが悪く、風味の弱いパンに仕上がります。
また、過発酵になると逆に風味が強すぎて味を感じるどころではなくなるので、これもあんまりおいしくないパンになります。小麦の味を邪魔せずに、ふんわりと香る発酵の状態を大きさの変化や作業段階での香りで確認できるようになるといいですね。
酵母の扱いも発酵の見極めも試行錯誤を繰り返して経験を積むことが不可欠なんですね。
だからこそ、パンっておくが深いです。
3.小麦の甘さを出す。
小麦粉の成分はタンパク質(グルテン)とデンプンです。
グルテンがもっちりとした食感とするなら、デンプンは小麦の甘さです。
甘さを生かしたパンを作りたいのなら、ズバリ、いい小麦を選ぶのが早いですね。
ひとまとめには言えないのですが、安い小麦よりも高い小麦の方が上質であることが多いです。
分からなければ店員さんに聞いたり、調べてみてください。
もう一つポイントは、副原料を入れすぎないということですね。
いろんなものが入っていたらおいしくなると思いがちですが、素材の良さを邪魔しあうことがあるので、シンプルが一番おいしかったりします。パンは小麦と塩、水、イーストさえあればできます。いろいろ入れるよりも一つ一つの素材をこだわった方がおいしいパンを作る近道です。素材の力を一つ一つを信じてあげてください。
4.具材と生地のバランスを整える。
スイーツ系のパンに合わせるなら、生地もモチモチ・しっとりと仕上がるように作るべきだし、惣菜系のパンなら生地は甘いよりもプレーンだったり、ハードな食感になるように配合してあげるといいですね!
生地がおいしいのに具材がおいしくないのが一番もったいないです。だって、生地を作るのって大変ですし、一番愛情がこもってますからね。
だからこそ、一緒に合わせる具材もこだわりを持ってあげるとパーフェクトな仕上がりになります。
まとめ
- 計量する、こねるなどの工程をきちんとこなすこと。
- 適切な発酵の見極めをすること。
- 最小限の上質な素材で作ること。
- パンの材料はきちんとこだわりを持つこと。