パンのレシピ本を開いてみると、同じパンでもスキムミルクが使われているものがあったり、牛乳が使われているものがあったりします。
両方とも乳製品ということはわかるけど、どんな違いがあるのか考えたことはあるでしょうか?
今回はその謎を解決するために、牛乳で作るパンとスキムミルクで作るパンを作り比べて比較してみました。

結果を解説する前に、牛乳とスキムミルクはどんな違いがあるのかを解説していこうと思います。
牛乳がパンに及ぼす影響
1、牛乳の風味がパンにつく
まず思いつくのが、パンに牛乳の風味や味がつくことです。
これは単純に小麦の味+牛乳の風味と思っていただいでOKです。
素朴な小麦の味にミルキーな風味が加わるのでまろやかな丸みのある味わいに変わります。
牛乳を使う生地は一般的にスイーツ系のパンと相性がいいとされています。
2、焼き色がつきやすくなる
パンの焼き色は生地中に糖分が多く含まれているほどつきやすくなります。
そして牛乳に含まれる乳糖は他の糖分とは違いイーストによって分解されることもなければ、消費されることもない糖分です。
つまり、焼き上げるまで生地中に糖の形で残るので焼き色はしっかりつくようになります。
3、生地が引き締まる
パン作りに大きな影響があるのは水と牛乳は水分量が違うということです。
牛乳は約90%の水分と10%の固形分(乳脂肪や乳糖、たんぱく質など)で構成されています。
つまり、100g分の牛乳の中には90g分の水分しか含まれていません。
100gの水で作るところを牛乳100gに置き換えるとその分水分量が少なくなるので、生地が引き締まります。
引き締まった生地=もちもちした弾力のある食感
のパンができます。
スキムミルク(脱脂粉乳)とは
スキムミルクは脱脂粉乳と言われるように、牛乳から脂肪分と水分を抜いて粉末状にしたものです。
牛乳の固形分10%をギュッと粉にしたようなイメージです。
そのため、同じ量の牛乳を持ち運ぶよりも軽くて保存性もあり、牛乳よりも安価です。
その利便性があるので、大量にパンを作る現場などでは牛乳よりもスキムミルクが使われています。
スキムミルクを牛乳に換算
スキムミルクは牛乳の成分を1/10に濃縮したものなので、牛乳100gはスキムミルク10g+水90gと同じように使うことができます。
スキムミルクに加える水分を少なくすることで濃いミルク風にして使うことも可能ですが、一般的には小麦粉に対して7~8%の量を使います。
本来水分を含んでいたものから、水分を奪って粉末に加工をしているので、スキムミルクはとても湿気を吸いやすいです。
湿気を含んだスキムミルクはダマになりやすいので、粉に混ぜて使ったり、湿気を避けて保存することをお勧めします。
牛乳とスキムミルクで作ったパンの違い
作り比べた結果は、


牛乳
気泡が小さくボリュームは控えめ
弾力がありもちもちした食感
噛むほどに広がる牛乳の風味
スキムミルクよりも薄めの焼き色
スキムミルク
気泡は大きくボリュームも出る
軽くてふわふわした食感
ふわっと香る牛乳の風味
牛乳生地よりも濃い目の焼き色
以上のことがわかりました。

(同じ量を加えたという前提のもと、実験をしてみたので、牛乳の量をもっと多くすれば、牛乳でもふわふわした生地は作れます。)
(調節次第でいくらでもやりようはありますが)
スキムミルクはふわふわした軽い生地にミルクの風味をつけたいという時に力を発揮するように思います。
一方、牛乳は弾力がありもちもちで濃厚なミルクの旨みを出したい時に力を発揮するように感じました。